流街 (リュウマチ)

街を転々とする家族の、少し歪な物語。

北海道の不動産王としてその名を轟かせた薮田みつお。しかし調子のいい時期はそう続かず、事業の失敗で多額の借金を抱え蒸発してしまう。妻のゆきえは、息子のまさおとあつしに対し「父親は出張中」とごまかしてきたが、兄弟はその真実に余裕で気づいていた。３年間の不在が続いたある日、突然連絡をよこしたみつお。「また、一緒に暮らそう」ゆきえはすぐさま兄弟を連れ、再び家族が共に過ごすために東京へ向かう。しかし東京で家族を迎えたみつおは……過度なストレスにより腫瘍だらけの顔になっていた。明らかに異形となったみつおは、そのことを頑なに認めず……雲行きが怪しくなっていく。